映画『許されざる者』あらすじ・解説・レビュー

こんな方へ

・怒りや憤りを感じる相手がいる人
・理不尽や矛盾に憤りを感じている人
・カッとなって理性を失っている時

〔 こんな方は控えてください… 〕
・古い映画が嫌いな人
・暴力的な描写が苦手な人

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作品情報・あらすじ

  • 作品名(原題):許されざる者(UNFORGIVEN)
  • 制作年度:1992年
  • 上映時間:131分
  • 監督(制作国):クリント・イーストウッド(アメリカ)
  • 主な受賞歴:アカデミー賞(作品賞・監督賞・助演男優賞・編集賞)

贖罪に人生を捧げた”元”伝説のアウトローが、己の正義のために再び銃を握る

時は1881年、ワイオミング。
ビッグ・ウィスキー待ちの売春宿でトラブルが起きる。客として来ていたカウボーイ2人のうちの1人、クイック・マイクが、自身の身体を笑われたことをきっかけに娼婦のデライラの顔をナイフで切り刻み、幾つもの深い傷をつけるのだった。

その場に駆けつけた売春宿の主人のスキニー、保安官のリトル・ビルダゲットに取り押さえられるものの、リトル・ビルは、カウボーイ2人に七頭の馬をスキニーに差し出すことでその場を収めるのだった。

デライラに一生物の傷をつけておきながら、あまりにも軽すぎる最低に満足しない娼婦たちは、彼女たちが持っている有り金を集めカウボーイ2人に1000ドルの賞金をかけるのだった。

舞台は変わり、カンザスの田舎では、かつては強盗に殺人などの数々の悪事を重ね、地元では伝説とされていたウィリアム・マニー(主人公)が住んでいた。

そんな彼も、11年前に妻クローディアと出会ってからは改心し、それからは一切の殺しも悪事もやめていた。しかし、3年前に病気により妻を失い、今は農夫として2人の子供と静かな暮らしを送っていた。

そんな彼のもとへ自称ガンマンと名乗る若い男、スコフィール・キッドが訪れる。賞金をかけられているカウボーイの2人を殺すため、殺しの経験が豊かで伝説的な異名を持つマニーに相棒になってほしいというのだ。

マニーは妻と出会ってからは殺しから手を引いたと一旦断ったものの、経済的理由から仕事を引き受けることを決心しキッドのことを追いかけることにしたのだ。マニーは過去の仲間の凄腕のガンマン、ネッド・ローガンもこの仕事に誘い込み、賞金稼ぎを目的としたマニー、ネッド、キッドの3人の旅が始まるのだが…

これを機に、復讐をしたい娼婦、逃げるカウボーイ、街の秩序を守る保安官、賞金を稼ぎたいマニーたちの負の連鎖が回り始める….

本作『許されざる者』は1992年に公開されたアメリカ映画。巨匠クリント・イーストウッド主演・監督を務め、アカデミー作品賞も受賞する。本作は、西部劇にありがちな「ヒーローが悪党を倒す」という形式を破壊し、「西部劇を殺した」という物議を醸した作品。正義と悪・復習と暴力・力と贖罪など、実社会にも蔓延る問題が繊細に映し出された非常に深いのあるものとなっています。

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解説・レビュー ※ネタバレ含む

人間は、正義という大義を持てば平然と悪魔になれる

表裏で繋がる悪と善

本作、「許されざる者」は輝かしい賞を受賞し、映画史に残る名作だ。
一見、善良な市民を困らせている悪党を退治する正義の味方の物語のようにも見えるが、この映画に善人は登場しない
むしろ、全員が悪党とも言える一面を持つ。

そもそも、一連の騒動の発端となったクイック・マイクは言うまでもない。罪のないデライラを切り捌きながらも平然と暮らす、殺されても当然とも言える悪党だ。
また、懸賞金をかけてまでクイック・マイクを殺そうとする娼婦達も大概な人間だ。復讐をしたい気持ちはわかるが、決して命まで奪って良いものではない。更に、自分たちで殺し依頼をしてながら、いざそれが実現すると他人行儀になるその姿からは、その重みを理解せずに間接的に命を奪ったとも言えよう。
保安官のリトル・ビルは、街を守るという権威の元に好き勝手に暴力を振りかざし、ついには罪のないネッドの命まで奪ってしまう。
主人公のマニーもネッドも金のために見ず知らずの人間の命を奪う。相棒ネッドを晒しものにされたマニーに至っては、復習のために保安官幾人もを有無を言わさず銃殺する。

要は、全員が自らが抱える正義という大義の名の元に、暴力を振りかざし平然と人の命を奪ってしまうのだ。

不思議と、最も多くの人間を殺している主人公のマニーにだけ共感を覚える。格好良いとまで思ってしまうが人間の危険なところであろう。
いかなる事情があろうとも、人の命を奪って良い理由などない。

つまり「勝てば官軍」ということだ。道理にかなわなくても、勝った者が正義となり、負けた者には不正の汚名がきせられる。

もしくは、小さな家族がいること、心優しいネッドが殺されたことなど、マニーの内情を知っているだけに、例えそれが許されない行為であろうが彼に共感をしてしまう。

しかし、殺された相手のことは本当に全てを知っているのだろうか。

本作は、全員が悪党とも言える一面を持つが、全員が善良な一面も垣間見せる

保安官のリトル・ビルは極めて暴力的で、立場をいいことに力で威圧し街を支配している。しかし、街の人間には決して手を出さず、街の秩序を守るためにはある種まじめな人間とも取れる。少なくとも、無意味に殺生をするほどの悪人ではない。

マニーもそうだ。昔は、人道外れる行為を繰り返したならず者だったが、妻クローディアとの出会いにより、贖罪に人生を捧げてきた。

懸賞金をかけられたデービー・ボーイも、自身は関係ないながらも相方クイック・マイクの行いに罪の意識を感じ、リトル・ビルが提示した要望とは別に馬を娼婦達に捧げようとする。

この行為は、デービー・ボーイの行いはある意味で娼婦達に対する”裏切り”のようなものだった。悪魔のような所業を行い「殺されても当たり前」と思っていたはずの存在が人間らしい一面を見せることで、自分たちがしてきた行動に迷いが生じる表情を見せる。

しかし、振り上げた拳を下ろすことは難しい。憎悪の気持ちに火がつくと、誰も消すことはできないのだ。

皆、それぞれが持つ正義の名の下に悪事を働く。
愛する家族のため、秩序のため、そして仲間のために廻りだした負の螺旋は簡単に止めることはできない。

如何にしかて暴力が生まれ、正当化されていくのか
歪んだ正義、人間の弱さや卑劣さ、罪と贖罪など、考えれば考えるほどメッセージ性が感じ取れる深い作品である。

監督が伝えたい暴力に対する絶対的否定

作中には、暴力を生み出すことの虚しさも明確に描かれている。

優しい心を持ちながら、過去に犯した罪の贖罪に人生を捧げる主人公マニー。
いざとなると人を打つことのできない凄腕のガンマン、ネッド。
殺人を依頼しておきながらもそれが実現されると戸惑う娼婦達。

初めて人を殺した事実を受け入れられず、泣きながら悔やみ怯えるキッド。「あいつは殺されて当然だ」と自分に言い聞かせるものの、そこにいたマニーに「俺たちも同じだけどな」と返され自分が犯した罪の重さを自覚する。

如何に正当化しようとも、犯した罪への後悔から逃れることはできない

罪を犯した人間は、いつかはその意味に真正面から向き合わねばならない。皮肉なことにも、厚生をすればするほど尚更だ。犯した行いの因果からは決して逃れることはできないのだ。

これは、映画だけでなく現実でも同じことが起きていることも忘れてはならない。

クリント・イーストウッド監督は、映画を通して戦争や暴力への警報を鳴らす。

本作には、保安官のリトル・ビルが自らの手で家を建てているという描写がある。しかし、素人でありながらも見よう見まねで建てた家は、結果ひどい雨漏りや屋台骨の歪みを引き起こし、外見は綺麗でも中身はガタガタの住むに耐えない環境を作り上げる。

これは作品中の「ビッグ・ウィスキー街」を表しているような者であり、また現実にある「アメリカ合衆国」を象徴したようなものでもある。

「許されざる者」から私たちが学ぶべきこと

私たちにとってこれは決して他人事ではないことを、肝に銘じたい。

本作「許されざる者」は、殺しが許され生業とされた時代の極端な例だが、日々の暮らしの中にも同じことは起きている。

私たちは日々言葉でも互いを傷つけ、悲しみ合いながら生きている。そして、時にそれが暴力を生みだす。

現実でも一緒だ。悪を働きたく、悪をする人はいない
一歩俯瞰的な目線で周りを見た時に、そこには必ず各々の正義がある

題目ともなっている『許されざる者』とは一体誰のことなのか。その答えは明確になっていない。

過去の贖罪に人生を捧げながらも尚、殺人を重ねるマニーのことなのか。権力と秩序を大義に暴力を振りかざすリトル・ビルか。はたまた、間接的に殺人を犯しながらも知らん顔をする娼婦達のことか…

一歩俯瞰的な目線に身を置き、相手の事情を知れば悲しみの連鎖は起きなかったのかも知れない。

問題は、罪を犯す時点で、各々がそれを罪と捉えないことにある。人間は、正義という大義を持てば平然と悪魔になれるのです。

主観的な視点でしか見れない愚かさ、争うことをやめられない虚しさ、傷つけ合うことの無意味さなど、人の悲しさを改めて気付かされます。

受賞歴

アカデミー賞(1993)
作品賞・監督賞・助演男優賞・編集賞

ゴールデングローブ賞(1993年)
映画部門監督賞・映画部門助演男優賞

その他受賞歴
英国アカデミー賞・全米映画批評家協会賞・全米監督協会賞・ロサンゼルス映画批評家協会賞・ロンドン映画批評家協会賞 等

クリント・イーストウッド監督の別作品

映画監督:クリント・イーストウッド
・2019年:運び屋(監督/製作/出演)
・2018年:15時17分、パリ行き(監督/製作)
・2016年:ハドソン川の奇跡(監督/製作)
・2015年:アメリカン・スナイパー(監督/製作)
・2014年:ジャージー・ボーイズ(監督/製作)
・2012年:人生の特等席(製作/出演)
・2012年:J・エドガー(監督/製作)
・2011年:ヒア アフター(監督/製作/音楽)
・2010年:インビクタス 負けざる者たち(監督/製作)
・2009年:グラン・トリノ(監督/製作/出演)
・2009年:チェンジリング(監督/製作/音楽)
・2006年:硫黄島からの手紙(監督/製作)
・2006年:父親達の星条旗(監督/製作/音楽)
・2005年:ミリオンダラー・ベイビー(監監督/製作/音楽/出演)
・2004年:ミスティック・リバー(監督/製作/音楽)
・2002年:ブラッド・ワーク(監督/製作/出演)
・2000年:スペース・カウボーイ(監督/音楽/出演)
・1999年:トゥルー・クライム(監督/製作/出演)
・1998年:真夜中のサバナ(監督/製作)
・1997年:目撃(監督/製作/出演)
・1995年:マディソン郡の橋(監督/製作/出演)
・1993年:パーフェクト ワールド(監督/出演)
・1992年:許されざる者(監督/製作/出演)
・1991年:ルーキー(監督/出演)
・1990年:ホワイトハンターブラックハート(監督/製作/出演)
・1998年:真夜中のサバナ(監督/製作)
・1997年:目撃(監督/製作/出演)
・1995年:マディソン郡の橋(監督/製作/出演)
・1993年:パーフェクト ワールド(監督/出演)
1992年:許されざる者(監督/製作/出演)
・1991年:ルーキー(監督/出演)  等…

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