映画『ゴッドファーザー』あらすじ・解説・レビュー

こんな方へ
・人生に迷っている人
・自身を客観的に見つめ直したい人
・大きな選択や決断を迫られている人
〔 こんな方は控えてください… 〕
・淡々とした映画が苦手な人 ※派手さあまりないです。
・古い映画が嫌いな人
・暴力的な描写が苦手な人
本サイトでは気分や目的別にカテゴリー分けをして作品をご紹介してします。他の作品も是非ご覧下さい

作品情報・あらすじ
- 作品名(原題):ゴッドファーザー(THE GODFATHER)
- 制作年度:1972年
- 上映時間:175分
- 監督(制作国):フランシス・フォード・コッポラ(アメリカ)
- 主な受賞歴:アカデミー賞(作品賞・主演男優賞・脚色賞)
伝説のマフィア一家が描く『情』と『義』の美学
時は1945年、ニューヨーク。
物語はドン・ヴィドー・コルレオーネの長女コニーの結婚式から始まる。
ドン・ヴィトー・コルレオーネは「五代ファミリー」と呼ばれるマフィアの一つの、コルレオーネ家の頭。
政治家も抑え、裏の世界の中でも絶対的な権力を持っていたドンは、周囲から「ゴッドファーザー 」と呼ばれていた。
ゴッドファーザー には3人の息子がいる。長男のソニーと、次男のフレドは、父と共にマフィアの仕事を手伝っていた。三男のマイケルだけは裏の世界に抵抗を持ち、堅気の世界で軍隊の仕事をしているのだった。また、むかし孤児として育ったトムも家族同様に育ち、今は弁護士としてコルレオーネファミリーの相談役をしていた。
冷酷な世界の中でも、ゴッドファーザーは「家族」と「義理」を何よりも大切にしており、周囲からの絶対的な信頼を持っていた。それを目前にしてきたコルレオーネ家の息子たちもその考えを継いでいる。
ある日、そんなゴッドファーザーの元に密売人のソロッツォから麻薬売買の依頼が来る。
ビジネスとして金にはなるものの、多くの人の身を滅ぼす元となる麻薬を嫌うゴッドファーザーはその依頼を断った。
思えば、これが全ての始まりだった。
ソロッツォのバックには、マフィアの五代ファミリーの一つであるタッタリアファミリーがいることを知り、ゴッドファーザーは部下に指示探りを入れる。
しかし、ゴッドファーザーの部下はタッタリアに殺害され、ゴッドファーザー本人も銃弾5発を入れられる襲撃を受ける。実の父親でもあり、組織のボスでもあるゴッドファーザーを襲撃されたコルレオーネファミリーは怒り狂うのだが….
これを機に、マフィアだけでなく周囲の人間達も巻き込んだ負のループが回り始める。
本作『ゴッドファーザー』はアカデミー賞でも3部門(作品賞・主演男優賞・脚色賞)を受賞し、当時の興行収入を塗り替えた名作。
一大マフィアを支えるドン・ヴィトー・コルレオーネ(ゴッドファーザー)と、生真面目な性格ながらも大切な家族を守るために二代目ドンとなるまで上り詰めたマイケルの姿を描く。
派手さはなく、淡々と描かれるストーリーの中にも人間の深い内面が描き出されており、50年近くたった今でも「歴史上最高の映画」と讃え続けられる不朽の名作です。
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解説・レビュー ※ネタバレ含む
一つ一つの選択が人を変える
「ゴッドファーザー」は全部で3部策から構成される。
「ゴッドファーザー(part1)」は、言わば「絶対的カリスマ ドン・ヴィトー・コルレオーネ(ゴッドファーザー)の支配力」と「家系を守るために変わる マイケルの成長」この2つが主なテーマだ。

絶対的な権力を持ち、誰からも信頼されていた大黒柱のゴッドファーザーが危機にさられることで、コルレオーネファミリーを守るためにも、家系が行なっていたマフィアの仕事を最も嫌っていた三男坊のマイケルが変わることを余儀無くされる。
誠実で曲がったことができなかった人間が、冷酷に裏の世界を牛耳る王となるのです。

自身の中にある善意との葛藤。大切な人を守るが故に、同じく大切な人を犠牲にしなければいけない葛藤。様々な苦難や葛藤を乗り越え”成長”していくマイケルの姿に人々は胸を打たれ、感動するのです。
しかし、ここで考えたいのは“成長”とは何か?ということ。
辞書には、「成長」について下記のように書いてあります。
1 人や動植物が育って大きくなること。おとなになること。
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/122264/meaning/m0u/
2 物事の規模が大きくなること。拡大
抽象的すぎてよくわかりませんね。
グロービスでは下記のようにも議論されています。
・成長とは、限界の幅が広がり、他に認められること
https://globis.jp/article/1079
・成長とは、得た知識や技術、経験に自信と信頼を持つことである。
・成長とは、物事を見る際の観点が増える事である
・成長とは、できなかった事が自然とできるようになるまで身につくこと
・成長とは、挑戦するこころを忘れないこと!
・経験を積み重ねることが成長である。 etc…
色々ありすぎて、一つに決められることではないのかもしれませんが…
私は、「成長」は人の観点によって変わると考えています。
つまり、”その人”により利益のある方向性へ変わる(進む)ことを指します。
その定義から言うと、「コルレオーネ家(マフィア)」の視点からすれば、裏の世界のことは何もわからない坊やだったマイケルが、最終的にボスの大役まで務めるまで変わったことは成長になります。
しかし、ケイ(マイネルの恋人・後の妻)にとっては?
堅気の世界で順風満帆な人生を共にするはずだったマイケルが、マフィアの道に進んだ挙句に、逃亡先のシチリア島では他の女性に奪い取られ…
彼女にとって、この”変化”を”成長”と言えるのでしょうか。
では、マイケル自身にとってはどうだったのでしょうか?
自身の人生を、あるいは大切な人の人生を豊かにするために必要な変化だったのか、それとも間違えだったのか。 ※答えは「ゴッドファーザー PART2」で確認しましょう。
「成長」と言えば聞こえは良い。
しかし、人が「変わる」ことを何でも「成長」と捉えることに私は違和感を感じます。
「変化」をすれば得るものは必ずあります。
しかし、知らず知らずに失っているものもあります。
本作の魅力的なところは、登場人物(マイケル)の苦悩や葛藤、そして変化に自然と感情移入をしてしまいたくなることです。
人生は選択の繰り返しです。その選択の一つ一つが、少しづつ人を変えていく。
これは自身の人生にも多いに置き換えられる話ですね。
影響力の大きさは違えど、社会の荒波に揉まれる中、私たちは少しづつ変わっていきます。その中で、何を得て、何を失ったのでしょうか。
本作を見ると、不思議と自分自身のことも考え直してしまいます。
「嘘」は自身を支配する

もう一つの見所は、マイケルが嘘を付くラストシーン。
ファミリーを裏切った妹の旦那を殺したマイケル。
妻のケイに「本当にあなたが殺したの?」と問われた時に、マイケルは間を置いて「殺していない」と”嘘”をつきます。
マフィアには沈黙の掟があり、内部の事情を他人に話すのは、例えそれが妻であろうとご法度です。また、それ以上に妻に対して誠実でありたいと思うマイケルにとって、嘘を付くことは苦渋の決断でした。
「嘘」には、2種類があります。
自分を守るための偽りか、相手(他者)を守るための偽りです。
自分を守るための嘘。これは、その場の危機を逃れることはできても、虚しさだけが残ります。そして、そういった嘘はいずれ抵抗がなくなり癖になります。
もう一つは相手(他者)を守るための嘘。これは苦しさが残ります。嘘を全て自分の中だけに収め、全てを背負わなければいけないからです。
背負うと言うことは、覚悟を決めること。
自分が発したその言葉通りに自分を律しなければいけません。
自分のついた”嘘”は、その”嘘”を”本当”として守るためにやがて自分自身のことを支配します。
マイケルがついた嘘は後者の嘘でした。
妻を守るため。妻の前では誠実でなければいけない。誠実があるがために嘘を付くのです。
そういった想いから苦渋の決断でした嘘は、やがて自分自身を変えることになり苦しめるのです。 ※続きは『ゴッドファーザー PARTⅡ』をご覧下さい
言葉には、それだけの重圧がある。
人には偽りの姿を見せることはできても、自分自身は偽れません。
小さな選択、小さな言葉の一つ一つが積み重なって今の自分が形成されるのです。
結果がどうであれ、相手のことを思いやり嘘をついたマイケルの覚悟は賞賛されるものだと思います。
長い人生、少しは嘘を付くことがあるでしょう。
しかし、それが自分のためではなく大切な人を守るためのものでありたいものです。
本当の意味の「誠実」とは何か。本当の意味の「想いやり」とは何か。人と人との繋がりの深い部分を考えさせられる作品です。
「ゴッドファーザー」が”不朽の名作”と呼ばれる所以
本作は「歴史上最高の映画!」だと比喩されることが多々あります。
決して派手でも特別でもない本作が、なぜ多くの人の記憶に残り、50年近くたった今でも評価され続けるのでしょうか。
ここでは、本作「ゴッドファーザー」が不朽の名作と呼ばれる所以についていくつかご紹介します。
名作と言われる所以:変わることのない”人間の内面”がテーマ

一つは、本作は「義理人情」「家族愛」「男の美学」など、時代が進んでも変わることのない”人間の内面”に重きを置いた作品だからです。そこに発展した映像技術や表面だけのテクニックは必要ありません。
人が映画を見たり書物を読んだりするのは何かに共感をしたいから。
自分に足りない感情や心の穴を何かに埋めてもらいたいからです。
また、技術が進歩し環境が変われば変わるほど私たちは”人の芯”、つまりは”心”を大切にします。目まぐるしく時代が進んでいく今の時代だからこそ、シンプルに人の心情に焦点を当てた作品の魅力度は増すのではないでしょうか。
名作と言われる所以:語り継がれる数々の名言

ゴッドファーザーと言えば、検索して出てくるのは数々の「名言」。
これらの「名言」が一人歩きすることで、作品と名言が互いに認知を高め合うような良いループが生まれているのでしょう。カッコよすぎて、真似したくなるのもよくわかります..
しかし、人の心に残る言葉というのは「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」で決まります。ただ単に格好良い言葉を羅列するのではなく、ゴッドファーザーの生き様があってこそ輝くセリフなのでしょう。ここでは、作中で語られる名言の一部をご紹介します。
If you’d come in friendship, the scum that ruined your daughter would be suffering this very day. And if an honest man like you should make enemies, they’d be my enemies. And then they would fear you.(君が友人として来れば、そんなクズなど、すぐ処分してくれる。善良な君を苦しめる者は、わしが許さん。君が友人なら。)/ヴィトー・コルレオーネ
http://hamadaumakichi.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/ill-make-him-an.html
彼が周囲からの絶対的信頼を持つ理由がよくわかります。裏の世界にも”義理”があり”金”だけで全てが動かせるわけではないということがよくわかります。これは、この世界だけではなく、私たちすべての人間に共通して当てはまることでしょう。
「A man who doesn’t spend time with his family can never be a real man.(ファミリーを大切にしない奴は、決して本当の男にはなれない)」/ヴィトー・コルレオーネ
https://eigahitottobi.com/article/69851/
ここで意味するファミリーとは血の通った家族という意味だけではなく、生活や運命を共にしている仲間のことを指します。様々な苦境が立ちはだかり何を優先すべきかわからなくなった時、最も大切にしなければいけないことが何かを気づかされる言葉です。
「I want you to use all your powers and all your skills.(お前の持つ力と技術の全てを使ってほしい)」/ヴィトー・コルレオーネ
https://eigahitottobi.com/article/69851/
敵マフィアにより銃で風穴だらけにされた息子の葬儀をやるときに、元々”貸し”のあった葬儀屋に放った言葉です。今まで、本気で相手のことを思い行動していたからこそ、本当に困ったときに助けを求められる。その生き様があるからこそ話せる言葉です。
ここでは一部の紹介になりますが、もっともっと名台詞を知りたい!という方はこちらのサイトがオススメです。https://eigahitottobi.com/article/69851/
名作と言われる所以:秀逸な映像表現

50年近く前の作品になるのにも関わらず、本作は「映像表現」を評価されています。
まず抑えておきたいのは「映像技術」と「映像表現」は違うこと。時代と共に「技術」進歩しますが「表現」はいつの時代も製作者の腕によって等しく評価されます。
ゴッドファーザーは、この「映像表現」が高く評価されています。例えばラストシーン、マイケルが殺しをやっていないことを(嘘の)告白したことにより一旦は安心をした妻が、扉の奥でマイケルが2代目ゴッドファーザーとして客人をもてなしいる姿を見ることで一挙に不安に襲われます。その不安な感情を、妻のクロースアップの目線から扉を閉めるという、まるで二人の間に壁ができたかのような映像によって表現をしています。
表と裏の世界を、光と闇によって隔てているのも表現の一つですね。
裏の所業や話の時は闇や影を写しています。
言葉で語るのは明確でもあり簡単だが、不明瞭な映像表現によって感情を映し出すのは難しいもの。数少ないセリフの中でも独特の世界観を映し出している本作は、映像表現が一段と優れているというのも一つにあります。
名作と言われる所以:アカデミー作品賞を連続受賞

1972年に公開され、たちまち大ヒットした『ゴッドファーザー』は数々の栄誉ある賞を受賞。
「ゴットファーザー」は、アカデミー賞で8部門にノミネートされ3部門を受賞(作品賞・主演男優賞・脚色賞)。続編の「ゴットファーザーPARTⅡ」では、アカデミー賞9部門にノミネートされ、なんと6部門を受賞(作品賞・監督賞・助演男優賞・作曲賞・脚本賞・美術賞)。
多くの名作も、続編を出すことでその評判は落ちるもの。過去、続編までも連続して「アカデミー作品賞」を受賞しているのは本作のみです。その他、ゴールデングローブ賞を始め、世界の中でも権威ある賞をいくつも受賞していることも、本作が「名作」と呼ばれる確かな所以なのです。
受賞歴
アカデミー賞(1973)
作品賞・主演男優賞・脚色賞
ゴールデングローブ賞(1973年)
映画部門作品賞・映画部門主演男優賞・映画部門監督賞・映画部門作曲賞・映画部門脚本賞
その他受賞歴
英国アカデミー賞・全米映画批評家協会賞・全米監督協会賞・ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞・ニューヨーク映画批評家協会賞 等
賞が多すぎてどれがすごいのかわからない….」という方はこちら!
👉 映画賞ってどれがすごいの?
フランシス・フォード・コッポラ監督の別作品
映画監督:フランシス・フォード・コッポラ ※「監督」としての作品を抜粋
・2016年:地獄の黙示録(監督/製作/脚本/音楽)
・2012年:ヴァージニア(監督/製作/脚本)
・2012年:テトロ 過去を殺した男(監督/製作/脚本)
・2008年:コッポラの胡蝶の夢(監督/製作/脚本)
・2002年:地獄の黙示録 特別完全版(監督/製作/脚本/音楽)
・1998年:レインメーカー(監督/脚本/製作総指揮)
・1997年:ジャック(監督/製作)
・1992年:ドラキュラ(監督/製作)
・1991年:ゴッドファーザー PARTⅢ(監督/製作/脚本)
・1989年:ニューヨーク・ストーリー(監督/脚本)
・1988年:タッカー(監督)
・1987年:友よ、風に抱かれて(監督/製作)
・1987年:べギー・スーの結婚(監督)
・1985年:コットン・クラブ(監督/脚色/原案)
・1985年:ランブルフィッシュ(監督/脚本/製作総指揮)
・1983年:アウトサイダー(監督)
・1982年:ワン・フロム・ザ・ハート(監督/脚本)
・1975年:ゴッドファーザー PARTⅡ(監督/製作/脚本)
・1974年:カンバセーション 盗聴(監督/脚本)
・1972年:ゴッドファーザー(監督/脚本)
・1970年:雨のなかの女(監督/脚本)
・1969年:フィニアンの虹(監督)
・1963年:グラマー西部を荒らす(監督/脚本/製作)
「そもそも映画作りに誰が一番重要なの?」という方はこちら! 👉 映画作りのキーマンは誰?
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