映画『ウォールフラワー』あらすじ・解説・レビュー

こんな方へ

・自信が持てない人、自己表現が苦手な人
・何かに悩んでいる人
・ただの恋愛映画や青春映画では満足できない

〔 こんな方は控えてください… 〕
・淡々とした映画が苦手な人

本サイトでは気分や目的別にカテゴリー分けをして作品をご紹介してします。他の作品も是非ご覧下さい

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作品情報・あらすじ

  • 作品名(原題):ウォールフラワー(THE PERKS OF BEING A WALLFLOWER)
  • 制作年度:2012年
  • 上映時間:103分
  • 監督(制作国):スティーヴン・チョボスキー (アメリカ)
  • 主な受賞歴:ー

思春期の「傷」や「弱さ」を美しく描いた青春物語

主人公は小説家志望で内気な16歳のチャーリー。

これといった特徴や友達もいなく、高校に入学をするもスクールカーストは最下位。
高校生活には馴染むことができずに出来るだけ波風を立てないように、毎日をただ静かにやり過ごしていた。

そんなチャーリーがある日、勇気を出して陽気な先輩のパトリックに声をかける。予想外に彼はフレンドリーに接してくれ、その場でパトリックの義理の妹であるサムと出会う。  

美しくも奔放で、自分にはない魅力を持つサムにチャーリーは自然と心を惹かれ始める。

ある日、サムがチャーリーを仲間が集まるパーティーに誘う。ふとしたことをきっかけに、自分のことを話すことのなかったチャーリーが、親友が自殺したことを打ち明ける。実は、チャーリーだけでなく皆が何かしらの傷やトラウマを抱えていることを知り、自身の弱さや経験を共有したことで本当の仲間として同じ時間を過ごし始める。

パトリックとサムのグループに入ることで本当の仲間や恋を知り、平凡だったチャーリーの学生生活は一転、輝き始めるのだが…

映画のタイトル「ウォールフラワー」とは「いつも壁際で物事を見ている花のような存在」という意味。 トラウマを抱え、自分を表現することのできなかったチャーリーを中心に、青年達の純粋で美しい感情を繊細に描いています。

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解説・レビュー ※ネタバレ含む

殻を作っているのは自分自身

この映画には、根っからの悪人が登場しません。

なのに、みんな何かに傷ついている。周囲を気にしながら生きている。
思春期の青年や少女をモチーフに、揺れ動く心情を繊細に描いています。

一見、カリスマ性があり陽気なパトリックも、ストーリーの途中でゲイであることが判明。ルックスも綺麗で明るいサムも、うまくいかない相手とばかり恋愛を繰り返し自己嫌悪に陥っている。

周囲との距離が縮まるほど、友人達の”本当”の姿が見えてきます。

私が印象に残っている場面の一つにチャーリーの生活が一変するきっかけとなる起点は、勇気を出してパトリックに声をかけるシーンがあります。
きっとチャーリー自信も、映画を見ている皆さんも「あれ?思ったよりうまくいったな。」「もっと早く友達になっていればよかったのに」なんて思ったと思います。

人生もこんなものですよね。

本当は皆何も思っていないのに、周囲への恐ればかり誇大化させて自分自身で自らを殻に閉じ込めてしまう。

悪い人ばかりじゃないのに全員が敵に見えたり、誰も何も思っていないのに自分が嫌われ者のように思えたり、みんな同じ人間なのにちょっと何か優れているだけで話してはいけない存在のようにみえたり…

でも、自分がちょっとした行動を起こすだけでその世界は変わるんです。
周囲が自分を拒否しているのではなくて、殻を作っているのは自分自身なんだと。

誰もが持つそんな感情を、10代の若者達をモチーフにして繊細に描かれています。

自分は一人ではない

もう一つは、純粋に「仲間」の存在の素晴らしさわかるところ。

あるシーンにしょうもないメンバーに、パトリックがゲイであることをバカにされ喧嘩になってしまった場面があります。その時、普段は内気で喧嘩や暴力には縁遠いチャーリーも、仲間のためとなると我を忘れるほど必死になってパトリックのピンチを守ります。

自分の限界を破るほど大切な存在。誰かに支えてもらうことで前を向くことができる、誰かをを想いやることが想像以上の力が出せる。

昔は当たり前のようにいたそんな存在も、利益や忖度ばかり追求する社会人になると少なくなってくるのではないでしょうか。

何も知らない時は周りの人が眩しく見えるが、みんな劣等感や何かしらの痛みを抱えて生きています。

「悩んでいるのは君一人じゃない。君は一人ではないんだよ」

監督はきっとこんなことを伝えたかったのだろうと思える作品です。

痛みを乗り越えることで前向きに成長する若者の姿

そしてこの作品の最大の魅力は、誰しもが抱える”苦悩”を生々しく、かつ美しく描写しているところ。

チャーリーが仲間の共感を得た瞬間、それは「親友の死」という過去の傷をさらけ出したこと。これをきっかけに、弱さを含めて互いを認めあえる”本当の仲間”ができます。

しかしその一方で、叔母からの性的な虐待のトラウマが最後の最後まで付きまといます。

トラウマを克服することが映画やドラマのようにうまくいくほど現実は甘くありません。
しかし、本作品は登場人物達が抱える悩みや苦悩を、リアルに、かつ乗り越えることで成長していく10代の姿を描いています。

私にも辛かった経験は人並みにあります。
身近な人との別れ、圧倒的な劣等感の記憶、二度と取り戻せない後悔など…

決して「必要な経験だった」とは言えるものではありませんが、結果的にそれらの経験を乗り越えてきたことで今の自分は形成されています。
人は本当に辛い状況の時ほど本心が現れ、自分や他人のことを知る機会になります。

この映画は決して「10代」だけのものでもなく、「はみ出しもの」だけのための物語ではありません。

あくまで、新しい経験が多く感情が豊かな10代の頃をモチーフにしただけ、今を一生懸命生きている全ての人にとって感じることのある、そんな作品です。

受賞歴

・ティーン・チョイス・アワード 映画部門 ドラマ映画賞、女優賞(2013年)
・インディペンデント・スピリット賞 新人作品賞(2013年)
・ピープルズ・チョイス・アワード ドラマ映画賞(2013年)、ドラマ映画女優賞
・GLAADメディア賞 最優秀映画(2013年)等

賞が多すぎてどれがすごいのかわからない….」という方はこちら!
 👉 映画賞ってどれがすごいの?

スティーヴン・チョボスキー監督の別作品

映画監督:スティーヴン・チョボスキー
・2018年:ワンダー 君は太陽(監督/脚本)
・2017年:美女と野獣(脚本)
・2013年:ウォールフラワー(監督/原作/脚本)
・2006年:RENT レント(脚本)

「そもそも映画作りに誰が一番重要なの?」という方はこちら!
👉 映画作りのキーマンは誰?

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